デイサービスセンターてんやわんや本町 四反田 将明 さんからの報告です!
帰宅願望とは、認知症のある利用者様がデイサービスを利用中に「帰りたい」と帰宅の要求を我々職員や他利用者に頻繁にしたり、実際に帰宅をしようと玄関のある一階に降り、入り口を開け外に出て行こうとする事です。外にお一人で出られ、戻れなくなり行方不明になってしまっては大変です。
自宅に帰りたいとか、生まれ育った故郷に帰りたいと思う事は誰でも普段から自然にある事です。それ故、「帰りたい」と思う事自体は決して問題ではないはずです。
誰でも、普段あまり馴染みの無い場所に居たり、知らない人が周りに沢山居ると不安になり、その場から逃げ出したいと思う事があります。この場所が何となく居心地が悪いと思えば、自分が居心地の良い場所へ帰ろうとする事は、当然の事と思われます。
また、帰りたいと思う場所は、自宅だけとは限らず、生まれ育った故郷や、親しくしていた家族や兄弟かもしれません。
大切なことは、「帰りたい」という要求や外に出ていこうとするのは、本人なりの理由があり、その理由は人によって様々であるという事です。
「帰りたい」という言葉の裏側にある本当の利用者様の思いを理解し、それに適格に対応する事が、我々デイサービスで働く介護員には大切です。
Kさんは、昨年から本町を利用され、当初は他利用者様と大勢でカラオケ等を楽しまれていたのですが、今年に入ってから、頻繁に「帰りたい」「もう帰る」とジャンバーを着て外靴に履き替え、出口のある一階に向かわれる事が多くなりました。
そこで、我々てんやわんや本町では、スタッフミーティングで職員が皆、Kさんの帰宅願望についての話し合いをし、Kさんに対し新しいアプローチを試みる事にしました。
ミーティングで話合われたのは、Kさんの「帰りたい」という思いや外に出ようとする行動を、その都度声掛けして無くして行く事だけではなく、「帰りたい」原因や理由を探り、原因に応じた対応を行うことによって、安心して居心地良くデイサービスでの一日を過ごして頂く事でした。
デイサービスの取り組みとしては、
- 帰宅願望を未然に防ぐ取り組み
- 帰宅願望が出た際の取り組み
というのが一般的です。
Kさんは、以前町内会の世話役としてで大活躍されていたそうです。
夢のみずうみ村では、様々なプログラムを用意しており、その中に、利用者様に「仕事」を依頼し、出来る事はご自身で積極的にやって頂く「内職リハビリ」という物があります。
そこでKさんに様々な「仕事」とお願いし、Kさんにデイサービスの中で「役割」を担って頂く事にしました。
それによって、Kさんに「自分はまだまだやれる」と自信を取り戻して頂き、デイサービスの中での居心地の悪さを取り除く事が出来ればと考えました。
「帰りたい」との思いが出ても、場面を切り替え、集中して作業している間は、時間を忘れる事が出来る様に、そしていつの間にか帰る時間が来てしまったと思えるくらい楽しく充実して過ごして頂ける様工夫しました。場合によっては、一対一での対応もしました。
おやつ作り この日は酒粕パンでした。
おやつ配りもKさんの役割です。
「仕事」の合間に「巡礼」をするKさん
他利用者様と共に、昼食の準備をされる
食器の片づけもして頂いています。
全ての「仕事」を終え、お好きなコーヒーを楽しまれるKさん
この様な新しい試みにより、徐々にではありますが、落ち着いてデイサービスで一日を過ごして頂ける様になりました。
コロナの影響で我々が提供出来るサービスも色々と狭まってしまっていますが、てんやわんや本町では職員一人一人が利用者様の立場になってお話に耳を傾け、連携して利用者様の満足度を高めて行きたいと思います。