この度のオランダ視察研修目的は、
1)病院死の比率が最も少ない国<病院死(35%)>
だいたい、自宅1/3 施設1/3 病院1/3の割合のようです。
2)中高層のケア付き住宅
都市では、土地のスペースのためがないためか戸建て住宅はなく、大きな集合住宅の煙突の数で戸数がわかる状態です。
3)施設の居住空間を広げて住宅に変えてきた
ビックリしたのは、グループホームで1人のお部屋に居間と洗面・トイレ室がありそれも40㎡以上あるのです。
オランダでは、建物を最低50年は使用するという「もったいない」という概念が強く、この居室の大きさも将来に向けたニーズに対応しようとする試みです。
4)介護事業者のほとんどが民間の非営利団体北欧のような税や公務員、主導ではない
5)人間の欲望と社会秩序との接点の見出し方が他国と違う
オランダでは、売春も大麻も合法の国です。
街の中を歩いてコーヒーショップの前を通ると、ヨモギのお灸のような匂いがします。
6)偏見、差別も聞かない。移民の国という歴史
7)看護師と介護士が5 段階で同一職種:高い専門性
ちなみに、介護士の時給は最低でも20ユーロ(日本円換算で:2800円)
8)前例のないものはしない日本の思考に対し、前例がないものはやろうというオランダの考え方
一番の注目点でした。行政が人を信じているのか、大きな枠組み以外は地域の実情は個別の対応に対し柔軟に対応していることです。
ということが主題での研修でしたが、
今回は、尊厳死と安楽死についての報告です。
オランダの家庭医訪問し、実際の安楽死の事例を聞くことができました。
その前に安楽死と尊厳死について
•尊厳ある死の定義
「尊厳ある死」(Death with Dignity -本来の意味での「尊厳死」) とは、人間としての尊厳を保って死に至ること、つまり、単に「生きた物」としてではなく、「人間として」遇されて、「人間として」死に到ること、ないしそのようにして達成された死を指す。
・安楽死の定義
苦しい生ないし意味のない生から患者を解放するという目的のもとに、意図的に達成された死、ないし その目的を達成するために意図的に行われる「死なせる」行為。
•こう理解するなら、「尊厳死は倫理的に許されるか」と問う必要はなく、定義からいって尊厳死は目指されるべきこととなる。
•すべての死は尊厳死であるべきなのである。 これは目標ないし理念をあらわす概念である。
•これに対して、「尊厳死を実現するにはどのようにすればよいか・するべきか」が問題となる。
•「死」以外に人間らしさを保つ方途がないと判断 される場合に、意図的に死をもたらすことが「安楽死」と呼ばれる。
◎安楽死は、安楽に死なせること。
ようるするに、死に際して苦痛を取り除くことを指す。
では、
オランダのホームドクターさんから聞いた

ある事例を紹介します。
ある60代後半の男性
・2年前から視力の低下による障害を抱える
・同時期に離婚
・うつとなり2年間カウンセリングしたが安楽死を希望
・もう一人の医師との意見交換ののち、離婚した元配偶者の腕の中で安楽死
・呼吸停止まで20分。その後、検死医が訪問
・3人のレポートが作成・提出
・審議され2週間以内に妥当性が認められる
実際の薬物の写真

安楽死の状況
•通常は1年に2例程度
•今年は6月に3名の安楽死
•Dr自身、事例が多く困惑している
とのことで、この訪問の前日も安楽死に施術し立会い疲労困憊のようでした。
大変、お疲れのところありがとうございます。
最期に、家庭医の診療所